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Walking Meetingプロジェクト

POINT

Appleの故スティーブ・ジョブズやFacebook CEO のマーク・ザッカーバーグ、オバマ元米大統領など、著名な経営者や政治家がこぞって実践しているという「ウォーキング・ミーティング」。
ワークスタイル視点で紐解いたその効果とはいかに?オフィスワーカーの健康維持と生産性向上に一石を投じうる、新しいはたらき方の実験・研究レポートです。

あなたがオフィスに来て、席に着いてから帰るまで、もっとも時間を費やして行っていることとは何でしょうか?
私たち(とくにデスクワーク業務が中心の方)が、多くの時間を割いていること、それは、“座ること”です。一日中、終始椅子に座りっぱなしということもしばしばあるのではないでしょうか。しかし実は、この“同じ姿勢を長時間続けること”は、喫煙と同じくらいの健康被害があると言われているほど、リスクのあるワークスタイルなのです。

“歩きながら働く“ウォーキング・ミーティングという名の解決策

座りっぱなしを解決するためには、適度な運動を取り入れることがもっともシンプルな解決法です。
しかし、どうにも億劫…という気がします。勤務中に運動となると、そのために特別に時間を作らないといけないですし、なにより続くのかどうか…。日々多忙の中で、これは一筋縄ではいかないように思えます。

そこで、ワークスタイル研究所が着目しているのが「ウォーキング・ミーティング」という働き方。読んで字のごとく、“歩きながら”会議を行います。一体、これはなにを意味するのでしょうか?
実は、健康面だけではなく、業務の効率化、関係性の向上などのいくつものメリットがあるということで、海外メディアを中心に注目されてきた働き方なのです。

「TEDトーク:ミーティングは歩きながら」

まずは、過去にメディアで語られているメリットを、大きく3つに分類してみました。

“運動が目的”から、“会議が目的”に。健康と働くが両立するワークスタイル

勤務中に運動を取り入れるうえで問題となってくるのは、運動をいかに業務と両立させるかという点。「仕事の合間に自席でストレッチや体操をしよう」「一時間に一度は立ち上がって歩こう」など、様々なものがこれまでも提案されてきています。
しかし、運動自体を目的としている限り、業務を中断してそのための時間を作り出す必要があります。結果として、意志の強い人でなければなかなか長続きしない、というのが現実ではないでしょうか。

両立という点では、ウォーキング・ミーティングはまさに理想的と言えるでしょう。なぜならウォーキング・ミーティングでは、目的はあくまで会議だからです。 いつもの会議を行う時間が、そのまま運動する時間にもなります。そのため、わざわざ運動のための時間を新たに作り出さなくとも、1日のスケジュールの中に無理なく運動を組み込めるはずです。

足腰を鍛え、血の巡りを良くし、さらにはダイエットにも効果のある運動を、働きながら行うことができるのです。

哲学者からIT企業のトップまで
創造性を向上させる方法論

ウォーキング・ミーティングは、Appleの故スティーブ・ジョズや、Facebook CEOのマーク・ザッカーバーグ、Twitter CEO のジャック・ドーシーといったそうそうたるIT企業のビッグネームにくわえ、オバマ元米大統領も実践している方法としても有名です。
中でもザッカーバーグ氏は、米西海岸にあるFacebook本社の屋上に一周1km弱の散歩用トレイルを作ってしまうほど、歩くことを重要視しています。

「Facebook Moves Into Its New Garden-Roofed Fantasyland」 - WIRED
フットボールコートが7つ入るといわれるFacebook本社の屋上の様子が見てとれます

ウォーキング・ミーティングは、なぜこうした人々に支持されているのでしょうか?
それは彼らが、決められた時間の中でいかに創造的なアイデアを生み出せるか、ということを重視しているからです。
かつては、かの有名な哲学者のカントも散歩愛好家として知られ、歩くことは、凝り固まった思考をほぐし、普段とは異なる新鮮なアイデアを生み出す方法論として、はるか昔から実践されてきたものでした。

テーブル上から路上へ
横並びで歩くフラットな関係性

上司や同僚、部下との関係は、仕事を円滑に進めるために良好に保ちたいもの。そんなときにまず気を使うのは、言葉遣いや態度といったコミュニケーションの基本ではないでしょうか? しかし、関係性に影響を及ぼす要因はそれだけではありません。一つ興味深いこととして挙げられるのは、相手との向き合い方です。どういうことか、会議を例にとって見ていきましょう。

会議は、テーブルを挟んで対面で行われることが一般的な形です。しかしこうした両者の位置関係は、上座・下座といった考え方にもあるような上下関係を際立たせたり、こちら側と向こう側、といった対立関係を意識させたりといった心理的な影響をもたらします。ある一つの共通した目的のために話し合いをする場合、こういった心理的影響はマイナスに働くことも少なくないのではないでしょうか。

一方、ウォーキング・ミーティングで会議をする場合はどうでしょう。基本的には同じ方向を向いて横並びで会話をすることになるため、「同じ目的に向かって進んでいく仲間」という感覚が相手に対して強まります。正面からの目線を気にする必要もないため、普段よりも親近感を持って気兼ねなく話せるようになります。フラットな関係性で、ポジティブに会話できる。これもウォーキング・ミーティングの意外なメリットです。

■その他参考記事

「How to Do Walking Meetings Right」 – Harvard Business Review
ウォーキング・ミーティングの留意点について解説した、ハーバード・ビジネス・レビューの記事です

「7 Powerful Reasons to Take Your Next Meeting for a Walk」 - inc.com
ウォーキング・ミーティングをおススメする7つの理由について解説された記事です

news_detail_mv01 実証実験

日々の打ち合わせを
ウォーキング・ミーティングでやってみた

このように語られるウォーキング・ミーティングは、実際に私たちのはたらき方をどう変えるのでしょうか? 
哲学者でもなく、有名社長でもなければ大統領でもない当研究所のメンバーが実際に実験することで、
一般のワーカーが実感できる効果には何があるのかを検証してみます。

検証したい内容

  • ・どのくらいの運動になるのか? 運動以外の効果には何があるのか?
  • ・人数や話題には向き、不向きはあるか?
  • ・実施するうえでの課題、ハードルは?

実験計画

実験表

実際の実験の様子(実験2の例)

実験の様子1

まずは、私から研究所のメンバーに、「ウォーキング・ミーティング」の開催連絡を入れます。

 
実験の様子2

すると、メンバーからルート提案の返信あり。会社近くの運河を一周したいとのこと。約2kmほどのルートです。

 
実験の様子3

実験当日、社内で待ち合わせて、出発。歩きで30分、オフィスで30分の計1時間、2人での打ち合わせ(実験2)に臨みます。

 
実験の様子4

いきなり本題に入るのはなんとなく気恥ずかしく、世間話がしばらく続きます。

 
実験の様子5

運河に到着。世間話ばかりもしてられないので、今日の議題を確認します。

 
実験の様子6

これで準備はバッチリ。当研究所毎週月曜恒例の、週次報告・相談を開始します。

 
実験の様子7

(ウミネコからも注目を浴びています)

 
実験の様子8

歩きはじめてしばらくすると、いつのまにか議論に集中していきます。

 
実験の様子9

並んで歩くと、いつもと違う一体感。前向きに報告し、受け止める。互いに気持ちの余裕が生まれます。

 
実験の様子10

折り返し地点に来ると、「打ち合わせも残り半分」と意識し、自然と議論の内容も収束モードに。

 
実験の様子11

運河をひと回りし、議題も概ねクリア。いくつかの積み残しを持って会社に戻ります。

 
実験の様子12

会社に戻った後は、資料の再確認等の積み残しを片付けます。歩いたので暑い!

今回のウォーキング・
ミーティングデータ

  • ・人数: 2人(上司&部下)
  • ・ミーティング内容: 週次活動報告と相談
  • ・歩いた時間: 29分40秒
  • ・歩いた距離: 1.89km
  • ・消費したカロリー: 112kcal

実験結果の考察

結果仕事を“しながら”1日で計10km歩いた!

まず、約30分のウォーキング・ミーティング、今回の実験での平均データを見てみると:
歩いた距離 :2.05km
消費したカロリー :120.8kcal
という結果となりました。2kmという距離は、身長170cmの人でおおよそ3,000歩に相当するようです。出退勤時の歩数に加えることで、理想的なウォーキングの歩数と言われている「1日10000歩」目標にグッと近くなりますね。

ある日の実験では、ウォーキング・ミーティングで5人分もの週次活動報告を受けることになり、なんと1日の合計で約10km歩きました。仕事の“合間に”ではなく、ちゃんと仕事を“しながら”1日10km歩く運動量を得られるというのは、他にはなかなかないワークスタイルではないでしょうか。

次に、「仕事をしながら運動できる」以外の効果としては、どんなものがあったのでしょうか。 参加したメンバーの感想を見てみると、共通したものでは、大きく2つありました:

1. 横並びで自然に話せる
  • ・会議室だと面と向かって座ることが多く、場合によっては緊張することもある
  • ・横並びの方が、目線が重なりすぎず、自然に会話ができる
  • ・「同じ目標に取り組む仲間」という一体感を生み、ポジティブな気分で会話できる
2. 打合せが効率化しそう
  • ・予定したルートを歩き切るまでに、話を終わらせようという意識が働く
  • ・ルートの設定次第で、打合せのタイムマネジメントがうまく行くのでは
  • ・資料などを持ち込めないので、何をどう話すか事前に整理できるようになりそう

さらに、ミーティング内容との親和性としては、以下のような気づきが得られました:

報告、相談、共有に向いている
  • ・何かを意思決定するような打ち合わせは、着座してしっかりやったほうがよさそう
  • ・アイデア出し等も、付箋等にアウトプットしていける環境の方がよさそう
  • ・上司と部下による会話ベースでの報告・相談・共有が一番しっくりくると感じた

一方、現状の環境での課題には、どんなものがあったでしょうか。参加メンバーの感想として、大きく2つ挙がっていました:

1. 待ち合わせ場所で、効率的に準備したい
  • ・報告・相談する要点をパッとまとめたい
  • ・1枚だけ持って行きたい資料などをパッと印刷したい
  • ・準備に使ったPCを一時的に預けて行きたい
2. 戻ってきた後、着座ミーティングに効率的に移行したい
  • ・話したことを忘れないうちに記録したい
  • ・置いていったPCや資料をすぐ受け取り、スムーズに着座ミーティングに移行したい

これらは、オフィス構築を生業とするコクヨのファニチャー事業が、新たな機会として前向きに捉えるべきポイントかもしれません。

まとめ若手マネジャーにオススメの働き方

実験結果をまとめると、ウォーキング・ミーティングという働き方について、以下のようなことが言えそうです。

  • 仕事を“しながら”運動不足を相当量解消できる
  • 打ち合わせに対してポジティブに臨める。効率化も見込め、生産性が拡大する
  • 上司と部下の間の報告・相談・共有ミーティングと相性がよさそう

ワークスタイル研究所的結論「部下が増えはじめるが、体力は落ちはじめる、30代後半からのマネジャーにオススメの働き方」


ということで、ウォーキング・ミーティングをオススメしていきたいと思います。
実際にやってみるとこの良さがよくわかりますので、ぜひ一度試してみてください!

ここからはじめてみよう

  • ・月1回、上司 / 部下との打合せをウォーキング・ミーティングで実施してみる
  • ・ルートと議題、待ち合わせ場所は部下に決めてもらう
  • ・30分ウォーキング+30分着座の1時間ミーティングがオススメ

本研究にかかわった人

若原
企画立案、実験・分析実施、レポート執筆
研究所他メンバー
実験参加
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